感染症学雑誌
Online ISSN : 1884-569X
Print ISSN : 0387-5911
ISSN-L : 0387-5911
原著
日本全国から分離された淋菌の抗菌薬感受性に関する調査
田中 正利霜島 正浩雑賀 威伊与田 貴子池田 文昭金山 明子小林 寅喆
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 85 巻 4 号 p. 360-365

詳細
抄録

2008 年 2 月から 2009 年 12 月までの約 2 年間に日本全国から収集された 494 株の Neisseria gonorrhoeae(淋菌)の各種抗菌薬感受性を測定し,耐性淋菌の分離頻度とその地域差を検討した.地域別分離株数は,西日本が 112 株 (22.7%),関東が 277 株 (56.1%),関東を除く東日本が 105 株 (21.2%) であった.シプロフロキサシン (CPFX),ペニシリン G (PCG),テトラサイクリン (TC) 耐性株の頻度は,それぞれ 78.6%,19.8%,18.2% であった.また,CPFX,PCG,TC 低感受性株の頻度は,それぞれ 1.8%,73.7%,43.7% とこれら 3 薬剤においては耐性または低感受性株の頻度が高かった.セフィキシム (CFIX),セフォジジム (CDZM) 低感受性株の頻度は,それぞれ 38.1%,13.4% と高い値を示した.しかし,CFIX,CDZM に対する耐性株の頻度は,それぞれ 0.4%,0% と低かった.アジスロマイシン,セフトリアキソン,スペクチノマイシン感受性株の頻度は,それぞれ 96.6%,99.8%,100% とこれら 3 薬剤に対する感受性は良好であった.各種抗菌薬に対する耐性株の頻度に地域差はみられなかった.しかし,西日本における CFIX 低感受性株の頻度は関東に比べ有意に高い値を示した.

著者関連情報
© 2011 社団法人 日本感染症学会
前の記事 次の記事
feedback
Top