感染症学雑誌
Online ISSN : 1884-569X
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原著
HIV-1 p24 抗原検出感度が向上した改良型 HIV 抗原抗体同時検出試薬の検討
佐野 貴子近藤 真規子吉村 幸浩立川 夏夫相楽 裕子井戸田 一朗山中 晃須藤 弘二加藤 真吾今井 光信
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2013 年 87 巻 4 号 p. 415-423

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抄録

ELISA 法を測定原理とし,抗 HIV-1 抗体,抗 HIV-2 抗体およびHIV-1 p24 抗原を同時検出可能な HIV スクリーニング検査試薬(ジェンスクリーン HIV Ag-Ab ULT,以下ジェンスクリーン ULT と略)について,感度,特異性等の性能評価を行うとともに,感染初期検出感度および HIV-1 p24 抗原検出感度について,他の HIV 抗原抗体同時検出試薬3 法(アーキテクト・ HIV Ag/Ab コンボアッセイ,以下アーキテクトと略;バイダスアッセイキット HIV DUO II,以下バイダス DUO II と略;ジェンスクリーン HIV Ag-Ab,ジェンスクリーン ULT の以前の型,以下旧試薬と略)との比較検討を行った.HIV 抗体陽性血漿 200 検体および HIV 陰性血漿 1,000 検体を用いて検討した結果,ジェンスクリーン ULT は感度,特異性ともに 100% であった.各 HIV ジェノタイプとの反応性は HIV-1 グループ M のサブタイプ A,B,Bʼ,C,D,F,G,B/D,CRF01_AE,グループ O,HIV-2 の検出が可能であった.感染初期セロコンバージョンパネル 10 セットを用いた感染初期検出感度の比較では,ジェンスクリーン ULT はアーキテクトおよびバイダス DUO II とすべて同採血日の検体から検出され,旧試薬との比較では 10 パネル中 5 パネルにおいて 1 採血日(最小で 3 日,最大で 5 日)早く検出が可能であった.HIV-1 p24 抗原の検出限界は,ジェンスクリーン ULT は 1IU/mL,3.5~9.9pg/mL,アーキテクトでは 1IU/mL,7.1~9.9pg/mL,バイダス DUO II では 0.5IU/mL,4.0~7.1pg/mL,旧試薬では 32.0~56.5pg/mL であった.以上の結果から,ジェンスクリーン ULT は HIV スクリーニング検査法として十分な感度,特異性を有するとともに,アーキテクトやバイダス DUO II と比較しても感染初期検出感度は同等であり,HIV スクリーニング検査試薬として有用であることが分かった.

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© 2013 社団法人 日本感染症学会
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