1986 年 11 巻 1-2 号 p. 27-34
エサ場グループを形成するノネコの親仔関係に関する調査を, 福岡県相の島の漁村で行なった。仔の生存率は低く, 10カ月令までに9.5%にすぎなかった。メスは各個体ごとに一定の場所で出産した。仔は成長とともに, 次第に自分の行動圏を確立していくが, その一部は母ネコの行動圏と共有しており, エサ場も同一の場所を利用していた。血縁関係にあるメス間では, 共同保育も観察された。このような分散過程の繰り返しがエサ場グループを形成し, 維持してきたと考えられる。