環境科学会誌
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2015年シンポジウム
公開統計情報に基づく日本の大都市のレジリエンス性評価
川久保 俊 田中 充馬場 健司
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2017 年 30 巻 3 号 p. 215-224

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抄録

災害や各種リスクに対応し得るレジリエントな都市の実現を目指すにあたり,目標達成に向けた進捗状況の把握,課題の発見は極めて重要なプロセスである。この際に適切な指標を設定し,公開されている統計情報に基づきながら都市のレジリエンス性を推計することができれば,人的,物的,時間的コストを抑えつつ,実態の把握が可能となることからその有用性は高い。そこで,本研究では都市のレジリエンス性を測るための指標群(都市レジリエンス性評価指標)を開発し,その適用可能性の検証を行うことを目的として,日本の大都市のレジリエンス性の評価を実施した。都市レジリエンス性評価指標の開発に際して,はじめに各省庁の基幹統計や大都市比較統計年表等の公開統計情報の精査を行いつつ,都市のレジリエンス性を測定し得る指標の候補をリストアップした。続いて,①データの収集容易性,②データの信頼性,③指標の代表性,④地域普遍性,⑤政策適用性等の基準を全て満たす指標のみを残し,最終的に18個の指標を都市レジリエンス性評価指標として選定した。さらに東京都区部および政令指定都市に関する公開統計情報を収集した上で検証的主成分分析を実施し,その結果に基づいて18個の都市レジリエンス性評価指標を統合し,各都市の予防力,順応力,転換力を評価するための統合評価指標を開発した。そして三つの統合評価指標を用いて日本の大都市のレジリエンス性評価を実施し,各都市の実態や特徴を明らかにした。

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