日本塩学会誌
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塩基性炭酸マグネシウムの研究 (第9報)
熟成の効果に関するX線的考察
萩野 友治
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1956 年 10 巻 2 号 p. 77-82

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抄録

代表的な三つの条件で生成し、熟成の程度を異にした各種の塩基性炭酸マグネシウム及び市販品に就いて、(1) X-ray diffractometerで結晶組成の分析を行い、すべて同一のものである事を認め、塩基性炭酸マグネシウムのX線粉末法データーとしてHanawaltの表より、求め、且つ塩基性炭酸マグネシウムを配合したゴムを伸張してその板状結晶を配向せしめた試料に就いて得た繊維図形より、主要な廻折線の指数を推定して、面間隔1.93Å以上の廻折線に指数配当も試み、塩基性炭酸マグネシウムの単位格子胞を決めた。
(3)(200)(111)(002) の廻折線を用いて結晶の熟成により結晶子の成長する事及びその速度が温度の高い程大きい事を認めた。
(4) MgOを内部標準物質に用いて熟成により非晶質が結晶化する事を確めた。
(5)(002) の廻折線を詳細に検討して熟成前の結晶は熟成後の結晶に比してC軸方向の恒等周期が約1%大きい事を認め、塩基性炭酸マグネシウムに屈折率の異る結晶の存在する理由を明らかにした。

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