Progress of Digestive Endoscopy
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臨床研究
進行食道癌化学放射線療法における内視鏡による効果判定に関する検討
吉井 貴子井口 靖弘須江 聡一郎大川 伸一
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2011 年 79 巻 2 号 p. 41-45

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抄録

【目的】食道癌における化学放射線療法(CRT)では原発巣の完全寛緩(CR)は予後良好の指標とされ,その判定は重要である。当院の進行食道癌CRT症例の内視鏡による局所効果の現状を検証した。
【対象と方法】2009年1月から2010年10月までに根治的CRTを施行した進行食道癌症例28例のうち,1)治療完遂し,2)内視鏡的効果判定を行い,3)増悪を確認,又は治療休止後6カ月以上経過観察できた胸部食道扁平上皮癌症例15例の局所効果判定と臨床経過を検討した。内視鏡によるCR判定は食道癌取扱規約第10版に従った。統計学的解析はKaplan-Meyer法,Log-rank検定およびカイ二乗検定によった。データの解析は2011年1月に行った。
【成績】男女比:14/1。肉眼型(1型/2型/3型/4型):4/9/1/1。CRT終了時局所CR/non-CR:4/11例。追加化学療法後の局所CR /non-CR:7/8例。全生存(観察)期間および無増悪期間中央値ともに局所CR例で長い傾向を示した(CR vs. non-CR:442 vs. 309日,p=0.010および334 vs. 175日,p=0.035)。
【結論】当院の経験でも,局所CR例はnon-CR例に比べ無増悪及び生存期間が長く,従来の報告に矛盾しなかった。半数は追加化学療法後にCRとなっており,注意深く内視鏡による観察を続けることが大切であると思われた。

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© 2011 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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