日本薬理学雑誌
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総説
心筋障害の調節因子とアデノシン産生
小畑 俊男
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2002 年 119 巻 5 号 p. 273-279

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抄録

冠循環は,その重要さゆえに心筋虚血などの代謝異常運動,外的ストレス,に対して迅速に対応できる循環制御メカニズムが備わっている.循環系の調節因子はきわめて複雑であるが,神経,心臓,内皮細胞および血球成分はそれぞれから遊出されるケミカルメディエーターにより冠微小循環を個別に調節することが知られている.心臓はエネルギー消費の最も大きい臓器で,容易に虚血に陥る.虚血-再灌流障害による代謝変動と,これにかかわるフリーラジカルが生体内の生理病理現象に広く関わっている.ATPの分解産物であるアデノシンは神経,心筋,内皮細胞および白血球成分のいずれからも産生され,かつどの細胞にも受容体が存在するため冠微小循環調節の各因子のモジュレーターとして冠循環を調節している.アデノシンは虚血や低酸素下で心筋から大量に産生され,冠血流量増大,心筋代謝改善,不整脈に作用する.

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