1993 年 67 巻 12 号 p. 1693-1700
ゴマ種子中のリグナン配糖体について, HPLCを基本とした分析を行った.
(1) ゴマ脱脂粕から,含水メタノール溶液により抽出して粗リグナン配糖体抽出物を得た.逆相分配カラムクロマトグラフィーで含水メタノールを溶離液組成とするHPLC条件において, 280~290nm付近に吸収極大を有する8種の物質が検出された.
(2) LC-MS分析により,各ピークに対応するマススペクトルが得られ,各リグナン配糖体のアグリコンの分子量,およびその糖結合数が示唆された.
(3) 逆相分配カラムクロマトグラフィーによって分画した各リグナン配糖体のNMR分析,またはセルラーゼとβ-グルコシダーゼによる加水分解で,アグリコンおよび糖結合数を決定した.その結果,ゴマ種子中には,少なくとも4種のリグナン類縁体をアグリコンとし1から3個の糖が結合した8種の配糖体が存在していることが示唆された.
(4) セサミンを外標準としたゴマ脱脂粕中のセサミノール配糖体類の組成および含量を分析した結果, 100gのゴマ種子中には,セサミノール配糖体が0.1~0.25mmol存在し,トリグルコシドが主成分であった.