高分子論文集
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アミロース・ヨウ素錯体の分光学的特性とヨウ素発色種との関係に及ぼす分子量効果
西村 健矢島 博文石井 忠浩遠藤 隆一
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1989 年 46 巻 9 号 p. 537-544

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抄録

アミロース・ヨウ素錯体の分光学的特性を支配する要因を解明するため, 錯体のヨウ素発色種に関するアミロースの分子量効果を広範囲のI-濃度において検討した. アミロースとヨウ素に基づく青色錯体の生成は, 重合度 (DP) 約20以上で最初に認められ, 200nmと560nm近傍に正負のCD帯が観察された. 600nm近傍の最大吸収帯は, アミロースのDPが約100まで増加するに従って, 対応するCD帯の強度の増加を伴い, 長波長移動及び分子吸光係数の増加を示した. スペクトル解析の結果, DP約20のアミロースにおける錯体の吸収及びCDスペクトルは, I2・I-3及びI-3I-3の2種の青色発色種のスペクトル分布に基づくことが判明し, DP約35以上の錯体ではI2・I2を含む3種の青色発色種が確認された. 電子論的考察により, 錯体の分光学的特性に及ぼすDPの効果は, アミロース格子中の結合I2あるいはI-3の電子状態とその幾何配置がDPに対応して変化することの結果と解釈された.

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