非イオン系界面活性剤の水溶液を用いて, イネ葉の濡れに及ぼす影響を接触角および色素付着性の点から, キャベツおよびダイズと比較検討した. その結果, イネ葉の濡れ性は非常に低いことが判明した. 濡れの特性は色素付着性の検討によりいっそう明らかとなり, 濡れ性が低い植物では, 表面張力と色素付着量との間に負の相関が認められた. また, 界面活性剤の濃度を0.01~1.0% (w/v) の範囲内で検討した結果,接触角の低下には POE lauryl ether が最も有効に作用したが, 色素付着性においては界面活性剤間で異なる結果が得られた. すなわち, 最大付着量を示す濃度は界面活性剤の種類により異なった (POE lauryl ether 0.01%, POE nonylphenyl ether 0.1%, POE sorbitan monolaurate 1.0%). また, POE lauryl ether において, 最大付着量を示す濃度はそのCMC値と一致し, 濡れ性の植物種間差もこの濃度付近で有意に現われる傾向にあった. 色素付着性に対する界面活性剤の影響はイネにおいて顕著で, 無添加区に比較すると著しい付着性の増大が認められた.