Journal of Pesticide Science
Online ISSN : 1349-0923
Print ISSN : 1348-589X
ISSN-L : 0385-1559
ニコチノイドおよびネオニコチノイドの選択毒性の分子機構
山本 出藪田 五郎冨澤 元博斉藤 隆行宮本 徹利部 伸三
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 20 巻 1 号 p. 33-40

詳細
抄録

[3H]α-ブンガロトキシン, [3H] ニコチンをプローブとしニコチン性アセチルコリン受容体 (nAChR) の認識部位へのニコチノイド, ネオニコチノイド, 関連化合物の結合性をみた結果, 昆虫nAChRでは3-ピリジルメチルアミノ部分をもつこと, 脊椎動物nAChRではイオン化度の高いことが必要であった. [3H] フェンサイクリジンを用い Torpedo のnAChRのイオンチャンネル開口への効果をみた結果, アゴニスト作用を呈するのに3-ピリジルメチルアミノ部分があるほうがよいが, イオン化度の高いことが必要であった. ニコチノイドのアミノ窒素原子とネオニコチノイドの構造上対応する窒素原子の15N NMRを測定したところ, 後者は前者に比べはるかに低磁場にあり, 窒素原子上の非共有電子対が電子吸引性基により非局在化, すなわち部分正荷電を帯びていることを示し, これが昆虫のnAChRとの相互作用には十分だが, 脊椎動物のそれとは不十分であるといえる. これによってニコチンは温血動物への毒性が高く, 殺虫活性が限られているのに対し, イミダクロプリドはその反対の特性を示すことが説明できる.

著者関連情報
© 日本農薬学会
前の記事 次の記事
feedback
Top