2000 年 25 巻 2 号 p. 117-122
ユリ培養細胞におけるティアステロン (TE) とTE-3-ミリステートの代謝変換を調べた. TEは, すでにユリ花粉から同定されている2つのTEエステル, TE-3-ミリステートとTE-3-ラウレートに代謝された. 一方, TE-3-ミリステートはTEに代謝され, TEとTE-3-ミリステートの相互変換が確認された. また, ユリ花粉の成熟過程におけるTEとTE-3-ミリステートの内性量の変動を調べた結果, ブラシノライドの生合成過程における同様の相互変換が示唆された. これらの結果から, TEのエステル体はブラシノライド生合成においてTEの貯蔵形態として機能していることが示唆された.