日本作物学会紀事
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スイートソルガム (Sorghum bicolor Moench)の収量形成過程の解析 : 第1報 葉身, 葉鞘, 伸長節間の伸長様式
中村 聡後藤 雄佐星川 清親
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1995 年 64 巻 1 号 p. 43-49

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抄録

バイオマス資源や飼料として利用されるスイートソルガムでは, 収穫物の中心となる器官は茎と葉である. これらは10~20個程度の伸長した節間と, それぞれの節に着生している葉鞘, 葉身から構成されている. 多収を目指した栽培上の間題点を解析するには, 収量と直接結びつく器官の生長過程を解明することが重要である. そのためには, これらの器官の生長を, 外観から推定できる必要がある. そこで, 外観で判断できる個体の齢 (葉位齢:葉身が前の葉の葉鞘から抽出し終わった時点ごとに, 抽出を完了したばかりの葉の葉位で表す齢) を用い, 各節位の葉身, 葉鞘, 伸長節間の伸長過程について解析した. また, それら器官の伸長過程の相互関係について検討した. 供試品種は晩生のシロップソルゴー2号 (S2)と中生のハイブリッドソルゴー (HS). タイムスケールに葉位齢を用いて, 葉身, 葉鞘, 節間の伸長様式を解析した結果, 次のようにまとめられた. すなわち, 第n葉葉身は葉位齢n-4からn-2の期間に急伸長し, 葉位齢n-1の頃にほぼ伸長が終わった. その葉位齢n-1の頃には, 第n葉葉鞘が最も急速に伸長しており, 最終長に達したのは葉位齢nからn+1にかけての時期であった. また, 葉位齢n+1の頃から第n節間が急激な伸長を始め, 葉位齢n+2の頃に最も増加速度が速く, 葉位齢n+3からn+4にかけての時期にほぼ最終長に達した. 以上から, 外観で測定できる葉位齢を記録することにより, その時点での個体内部で伸長している器宮の位置を推定することが可能となった.

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