分析化学
Print ISSN : 0525-1931
技術論文
多バルブカラムスイッチング液体クロマトグラフィー/質量分析計を用いる河川水中ビスフェノールA及び17β-エストラジオール分析における前処理の自動化
小倉 泰郎渡部 悦幸藤田 登美雄細矢 憲久保 拓也彼谷 邦光
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2009 年 58 巻 4 号 p. 293-299

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抄録

微量の環境化学物質を定量分析する際には,濃縮操作が不可欠になる.本研究では自動化,信頼性,選択性,分離の点からカラムスイッチング高速液体クロマトグラフィー/質量分析計(LC/MS)を用いた環境水試料の分析での性能向上を目指した.表面修飾型ポリマー充填剤を用いた前処理カラムを作製し,妨害成分の大幅低減による感度向上と実用上問題の障害となる分析カラム,前処理カラムの連続使用における圧力上昇の抑制を行った.その効果を高分子樹脂原材料であるビスフェノールA{2,2-bis(4-hydroxyphenyl)propane,BPA}と代表的な天然女性ホルモンである17β-エストラジオール(17β-estradiol,E2)をモデル化合物に用いて確認した.得られた結果は,BPA,E2とも実試料での検出限界は1 ng/L以下で回収率,再現性及び直線性も満足できるものであった.また,100回の連続分析でも顕著な圧力上昇は見られなかった.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2009
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