2010 年 59 巻 10 号 p. 885-894
住宅あるいは学校内装材の化学物質が原因とされる目や喉の痛み,あるいはアトピー性皮膚炎の悪化といった健康被害,いわゆる「シックハウス症候群」あるいは「シックスクール症候群」が問題視されている.著者らは,シックハウスの原因物質として挙げられるホルムアルデヒドの高感度,高選択性かつ簡易的な分析手法の確立に着目し,ホルムアルデヒドだけと選択的に反応し,発色する新規分析試薬の開発に成功した.更に,その応用展開として,同試薬を用いた検知タブを開発し,試験紙光電光度法を利用したハンディ型のホルムアルデヒド簡易測定器「FP-30」とホルムアルデヒド検出用試験紙「ドクターシックハウス」の実用化に成功した.ここでは,分析試薬及び各分析装置の技術的な説明について詳述する.