2018 年 67 巻 8 号 p. 453-459
非イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレンノニルフェニルエステル(PONPE)─金属イオン間の相互作用を流動電位法により測定した.試料溶液を0.25 MPaの加圧により,未修飾・ODS修飾・PONPE被覆ODS修飾ヒューズドシリカキャピラリーに通液し,キャピラリー両端に発生した流動電位から,キャピラリー内表面の表面電荷密度を求めた.PONPE被覆キャピラリーの表面電荷密度は,塩酸濃度の増加に伴い増加し,約100 mM程で一定の値となった.PONPE被覆を行うことで表面電荷密度は,ODS修飾表面の約2倍となった.プロトン付加したポリオキシエチレン(POE)鎖は,静電相互作用の場として働くことが明らかになった.酸性条件下における金塩化物錯体はキャピラリー表面と静電相互作用,及びそれ以外の相互作用でも吸着し,その濃度増加に伴い負の表面電荷密度を与えることが明らかになった.中性条件下ではPOE鎖に対してK+イオンはNa+イオンよりも約3倍程度吸着量が多く,POE鎖はK+イオンに対する親和性が高いことが確認された.