2017 年 106 巻 10 号 p. 2259-2264
薬剤耐性菌が世界中に拡大し,問題となっている.この問題が大きくなる一方で,新規の抗微生物薬の開発は停滞しており,近い将来には治療に必要な抗微生物薬が枯渇する可能性がある.これは,医療そのものの持続性さえをも脅かす大きな問題である.我が国では2016年4月に「薬剤耐性(antimicrobial resistance:AMR)対策アクションプラン」が制定された.WHO(World Health Organization)の薬剤耐性に関するグローバル・アクションプランの5つの柱をもとに,国際協力という日本独自の6つ目の柱を加え,分野毎の目標・戦略・取り組みが設定されている.本アクションプランの大きな特徴は,2020年までに達成すべき成果指標として数値目標を掲げている点である.このアクションプランでは,PDCA(plan-do-check-act)サイクルを導入することでプランの実現を図っていく.