日本臨床免疫学会会誌
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総説
Allograft inflammatory factor-1の免疫学的機能および役割について
山本 相浩川人 豊
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2014 年 37 巻 3 号 p. 139-145

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抄録

  Allograft inflammatory factor-1(AIF-1)は,ラットの異所性心移植モデルにおいて冠動脈周囲の浸潤したマクロファージにおいて発現が認められた蛋白である.主にマクロファージによって産生され,IFN-γにより制御される.AIF-1にはさまざまなsplicing valiantsが存在し,その機能も異なることが示されている.Ca結合に関わるEF handの立体構造を有しており,その構造的特徴によって細胞増殖や遊走などの作用を示す.細胞増殖や遊走の他にも,IL-6やIL-10,IL-12,TGF-βなどの炎症性サイトカイン・ケモカインの分泌,GLUT4やIRS-1の発現低下によるインスリン抵抗性,コラーゲン産生亢進による線維化プロセスなどに関与し,関節リウマチや全身性強皮症,動脈硬化性疾患や糖尿病など様々な疾患の発症を惹起することが明らかになってきた.今後,さらにその作用機序が解明されれば,AIF-1は慢性炎症性疾患の治療ターゲットになる可能性を秘めている.

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© 2014 日本臨床免疫学会
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