日本補綴歯科学会雑誌
Online ISSN : 1883-177X
Print ISSN : 0389-5386
ISSN-L : 0389-5386
口腔水分計 (モイスチャーチェッカー・ムーカスR) の有用性
高橋 史小司 利昭森田 修己
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 49 巻 2 号 p. 283-289

詳細
抄録

目的: 簡便にチェアサイドで行える口腔乾燥の評価法である口腔水分計の有用性について検討することを目的とした.
方法: 口腔水分計に影響を与える因子の検討は被験者16名 (平均年齢27.5歳), 健常成人の水分量の測定は被験者32名 (平均年齢24.4歳) を対象とした.水分計の測定値に影響を与える因子のうち, 接触圧については, 接触圧をメーカー指示である約200gにコントロールするためのストッパーを付与したときと, 付与しないときの水分量を比較した.センサーカバーについては, 専用カバーを取り換えて使用したときの水分量を比較した.測定器については, 2個の測定器を使用したときの水分量を比較した.健常成人の水分量の測定は, 舌粘膜および頬粘膜において行った.
結果: 接触圧については, ストッパーを付与したときのほうが付与しないときよりも0.2-0.3%低い値となった.センサーカバーについては, カバーを取り換えると0.5-0, 8%値が異なった.測定器については, 個々の測定器の間に有意差が認められなかった.健常成人における水分量は, 舌粘膜では平均値30.6±0.3%, 頬粘膜では30.9±0.3%であった.
結論: 口腔水分計は, 測定時の接触圧を適切にコントロールすることにより測定誤差は1%以下となり, また, 健常成人の水分量が一定の範囲内となることから, 安静時の口腔乾燥状態を検査するのに有用な機器であることが示唆された.

著者関連情報
© 社団法人日本補綴歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top