日本歯周病学会会誌
Online ISSN : 1880-408X
Print ISSN : 0385-0110
ISSN-L : 0385-0110
歯周組織と性ホルモン
歯根膜由来線維芽細胞の代謝に及ぼす性ホルモンの影響
難波 秀樹野村 慶雄木下 正彦清水 秀樹小野 耕資後藤 弘幸新井 英雄滝川 雅之村山 洋二
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 31 巻 1 号 p. 166-175

詳細
抄録

本研究では, ヒト歯根膜由来線維芽細胞の代謝に及ぼす性ホルモンの影響を, 種々の細胞機能の面から検討した。
歯根膜由来線維芽細胞および歯肉由来線維芽細胞は, 健康な歯周組織を持つ7人から分離・ 調製した。性ホルモンは, 17β - エストラジオールおよびプロゲステロンを用い, 線維芽細胞機能に及ぼすホルモンの作用を調べ以下の結果を得た。
1. 歯根膜由来線維芽細胞は, 形態的およびアルカリフオスファターゼ活性から, 骨誘導性細胞に類似した特性を示した。
2. 歯根膜由来線維芽細胞のDNA合成は, 17β-エストラジオールおよびプロゲステロンにより5%の血清存在下で上昇した。
3. 歯根膜由来線維芽細胞のコラーゲン合成は, 両性ホルモンにより低下した。非コラーゲン性タンパク合成は, エストラジオールおよび低濃度のプロゲステロンにより低下した。
4. 歯根膜由来線維芽細胞の代謝機能発現には, 培養系に血清の添加が必要である。以上より, 性ホルモンは, 歯根膜由来線維芽細胞の代謝と深く関わっていることを結論した。

著者関連情報
© 特定非営利活動法人日本歯周病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top