日本歯周病学会会誌
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LS-007投与後の歯周ポケット内ミノサイクリン濃度
里見 綾子浦口 良治野口 俊英石川 烈田丸 博秋北村 正孝
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1987 年 29 巻 3 号 p. 937-943

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抄録

今回の研究の目的は塩酸ミノサイクリンを2%含有する局所投与用の軟膏剤LS-007を歯周ポケットに投与しそのポケット内滞留性を検討することである。被験者は辺縁性歯周炎患者から選び, その4mm以上の1斯周ポケットを有する歯を被験歯とし, 試験薬を注入した。投与後, 1, 3, 7, 24, 48, 72, 120, 168時間後に被験歯のポケット内滲山液を採取し, ミノサイクリン濃度を測定した。時間群間で, 被験歯の歯種別の川現頻度に大きなかたよりはなく, 投与前の歯周ポケットの深さにも有意差はなかった。歯周ポケット内ミノサイクリン濃度は, 投与後7時間まで急速に減少した。その後の減少はわずかであり72時問後に3.4μg/ml, 120時間後においても0.3μg/mlでこの濃度はポケット内グラム陰性菌の発育阻止濃度に近いものであった。本研究により投与後3日から50問臨床的に十分なLS-007と思われるミノサイクリン濃度がポケット内に維持されることが示唆された。

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