日本歯周病学会会誌
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実験的根分岐部病変におけるハイドロキシアパタイトの治癒に及ぼす効果について
八重柏 隆
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1989 年 31 巻 1 号 p. 83-99

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抄録

ハイドロキシアパタイト (HAP) の分岐部病変の修復に与える効果を検索するために, ビーグル犬の前臼歯部に分岐部病変 (3, 4級) と分岐部骨欠損 (骨削除) を作成し, HAP顆粒を充填後, 6ヵ月までの治癒経過について肉眼的, X線的, 組織学的に観察した。
病変部では, 分岐部形態に多少の盛り上がりは見られたが, 陥凹した歯肉形態の回復は得られなかった。また, 経時的に顆粒と骨との癒着や, 顆粒表層の骨様組織の形成が生じており, 6ヵ月では分岐部歯槽頂は充填前よりも歯冠側に位置するようになった。
骨削除部では, 分岐部は骨と顆粒の混在する硬組織で埋められており, 歯根と歯槽骨の直接, あるいはHAPを介しての癒着がみられた。また各充填部とも骨と離れた部位の顆粒は密な線維によってそのまま囲まれていた。
HAPは本来骨組織が形成される場で, 形成される硬組織量を骨とHAPの混在する組織によって量的に増加させる役割を演じていた。

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