日本歯周病学会会誌
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唾液潜血試験におけるモノクローナル抗体を用いたヘモグロビン検出試験紙の有用性
ペルオキシダーゼ試験紙法との比較
大島 光宏鈴木 邦治江田 昌弘佐藤 慶伴伊藤 公一村井 正大大塚 吉兵衛
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1997 年 39 巻 2 号 p. 273-280

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抄録

唾液の簡易潜血試験に, 免疫学的にヘモグロビンを検出するモノクローナル抗体試験紙法 (抗体試験紙法) の応用を試み, 従来法であるヘモグロビンのペルオキシダーゼ様作用を利用したペルオキシダーゼ試験紙法 (酵素試験紙法) との比較検討を行った。その結果, 抗体試験紙法のヘモグロビン検出感度は0.1μg/mlと酵素試験紙法の約100倍高い感度を示した。また, 酵素試験紙法では, 3U/ml以上のミエロペルオキシダーゼおよび100U/ml以上のラクトペルオキシダーゼによって陽性を示したが, 抗体試験紙法ではいずれの酵素に対しても陰性を示した。さらに, 健康・無歯顎患者群と歯周疾患罹患者群の唾液を用いて抗体試験紙法と酵素試験紙法との比較を行ったところ, 両試験紙法間の陽陰性判定一致率は77.6%であった。特に, 抗体試験紙法ですべて陰性を示した健康・無歯顎患者群において, 酵素試験紙法で陽性を示すことが多かった。このことから, 酵素試験紙法の陽性判定中には, 唾液中に存在するペルオキシダーゼによる偽陽性判定が含まれている可能性が示唆された。従って抗体試験紙法は唾液潜血試験の精度を向上させ, 潜血試験を歯周病のスクリーニングテストの有効な手段にできる可能性が示唆された。

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