鉄と鋼
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硝酸ナトリウム添加浴からの亜鉛-シリカ分散めっきの析出挙動とその皮膜特性
塩原 幸光岡戸 昭佳阿部 雅樹鷺山 勝
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1991 年 77 巻 7 号 p. 878-885

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抄録

シリカゾルを含有する硫酸浴ベースのZn-シリカ分散めっき浴に硝酸ナトリウムを添加することにより,シリカ粒子のめっき皮膜中の析出効率は向上する.本研究では主としてめっき液の性状,めっきの析出挙動およびめっき皮膜の微細構造について調査した.得られた結果を以下に要約する.
1)めっき液中のシリカ粒子の分散性は良好で沈殿の発生はない.シリカ粒子は経時凝集する傾向が見られるが,低pH域(pH1.5~2.0)で比較的安定である.
2)シリカ粒子の析出に必要な硝酸ナトリウムの濃度は主としてめっき液のpHに依存し,低pHほど硝酸ナトリウムの必要量は高い.
3)めっき液中のシリカ濃度が高いほど,また電流密度は低いほどめっき皮膜中へのシリカ共析率は増加する.
4)表層を除き,めっき皮膜中のシリカ粒子分布は均一である.表層にはシリカ凝集層と考えられる薄いシリカリッチ層が存在する.表層部を含むめっき皮膜には金属Zn,シリカ粒子のほかに微量の酸化状態のZnが含まれる.この酸化状態のZnはシリカ粒子上に吸着して析出したZn(OH)2であると考えられる.
5)シリカ粒子の析出メカニズムとして,硝酸イオンの還元によるカソード界面pHの上昇→カソード表面上でのシリカ粒子の凝集・粒子表面へのZn(OH)2吸着→析出という析出過程が考えられる.

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© 一般社団法人 日本鉄鋼協会
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