2007 年 6 巻 1 号 p. 47-52
0,25または100 mMのNaCl処理が3種の台木種マンシュウマメナシ(P. betulaefolia),ニホンヤマナシ(P. pyrifolia)およびマメナシ(P. calleryana)に接ぎ木したニホンナシ‘秋栄’の無機成分含量および光合成に与える影響を調査し,耐塩性を比較した.マンシュウマメナシ台‘秋栄’は葉に含まれるNaおよびCl含量が他台木種を用いた場合に比べ少なく,光合成速度の低下も少なかった.これらの結果より,マンシュウマメナシは根にNaおよびClの移動を抑制する何らかの機構を持っており,穂木を接いでもこの特性は維持されることが示唆された.そのためマンシュウマメナシ台‘秋栄’は他台木種を用いた場合に比べ強い耐塩性を示したと考えられた.マンシュウマメナシは塩ストレス下でニホンナシ栽培を行う場合,台木として有望であると考えられた.