園芸学研究
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育種・遺伝資源
キク属野生種と栽培ギクの葉身における毛じの密度,長さならびに発達について
住友 克彦西島 隆明小野崎 隆柴田 道夫
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2006 年 5 巻 4 号 p. 351-356

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抄録

キク属野生種10種および栽培ギク20品種において,葉の毛じの密度と長さを観察した.キク属野生種では,葉裏面の毛じ密度に大きな種間差が認められた.また,葉表面より裏面で毛じ密度が高く,毛じの長さは長かった.栽培ギク品種においても同様の傾向がみられたが,野生種より変異の幅は小さかった.ピレオギク系統8913の毛じは他の種よりも長く,形状にも特徴がみられた.ピレオギク系統8913および‘苹果香’では,葉表裏面の毛じ密度は0.3本・mm−2以下であった.スプレーギクと毛じ密度が極めて高いイソギクとの種間雑種である‘沖の白波’および‘キクつくば1号’では,他の品種に比べて葉裏面の毛じ密度が高く,毛じの多少の形質は遺伝することが示唆された.
‘神馬’の毛じの発達を観察した.葉の発生のごく初期に1個の表皮細胞が,細胞分裂を行いながら外側に向かって伸長し,毛じの発達が始まった.未展開葉の毛じは先端部が紡錘状になり,密生していたが,展開葉では先端部は扁平な楕円形で,密度が疎になることが観察された.

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