肝臓
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肝外性に発育し腹腔内出血をおこした肝細胞性癌の1例
三好 正人岩佐 昇藤井 浩鹿岳 研
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1977 年 18 巻 10 号 p. 765-772

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抄録

副肝葉は副脾に比して稀とされている.特に副肝葉に発生した肝細胞性癌はほとんどみられない.最近肝硬変の経過観察中にα-fetoproteeinが血清学的に陽性になり,剖検にて肝外に発育した肝総胞性癌を確認した症偶を経験した.症例は67歳の男子で食道静脈瘤破裂で入院し,腹水の内科釣治療の経過中α-fetoproteinの陽性化をみた.肝scintigramでは肝硬変の診断しか得られなかったが,腹腔動脈造影にて肝細胞癌が疑われた.経過中突発的な腹腔内出血をおこしたが致命的にはならなかった.入駐8カ月後食道静脈瘤破裂で死亡した.剖検にて11×9×6cmの血腫が胃小弯と肝左葉の間に存在し,血腫内に直径約3cmの腫瘍が存在した-この腫瘍は組織学的検討にて肝細胞癌と診断した.肝臓に原発巣なく,膵,胃とも組織の連絡はなく肝硬変に伴った有茎性肝細胞癌と推定した.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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