肝臓
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小児HBウイルスキャリアの自然経過中におけるHBe抗原から
HBe抗体へのseroconversion-垂直感染と水平感染の差から
小島 峯雄安田 雅則田中 浩足立 信幸清水 勝高橋 善弥太相原 忍津田 文男高井 恵美子
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1985 年 26 巻 9 号 p. 1139-1145

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抄録

小児HBウイルスキャリアで両親のHBs抗原が判明し,2年以上追跡して,GPTを4回以上測定でき,最終年齢7~15歳でHBe抗原,HBe抗体を測定しえた37例につきHBe抗原からHBe抗体へのseroconversionを検討した.
現在母親がHBウイルス持続陽性の児(母親キャリア群)9例ではHBe抗原陽性7例(77.8%),HBe抗体陽性2例(22.2%),現在両親ともHBウイルス陰性の児(両親非キャリア群)28例ではHBe抗原陽性9例(32.1%), HBe抗体陽性15例(53.6%),両者とも陰性は4例で母親キャリア群より両親非キャリア群の方がHBe抗原がseroconversionしやすかった(p<0.05).
小児の経過中,GTP 50以上の異常値を示したのは,母親キャリア群が9例中3例(33.3%)であるのに,両親非キャリア群が28例中22例(78.6%)で,両親非キャリア群がトランスアミナーゼの異常をきたしやすかった(p<0.05).
以上の結果より小児HBウイルスキャリアの自然経過はキャリアの成立時期によって差があることを示唆された.

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