肝臓
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肝鋳型標本とその臨床応用
尾状葉の門脈枝と胆道枝
公文 正光
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1985 年 26 巻 9 号 p. 1193-1199

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抄録

従来,不明確であった尾状葉の定義,範囲を明らかにするため,肝鋳型標本23例を用い,門脈枝,胆道枝を中心に検討した.それらの分岐および分岐様式からみると,尾状葉は,(1)いわゆるSpiegel葉,(2)下大静脈部,(3)尾状突起部の3部分で構成され,多くの例でそれぞれに独立した分岐をもつことが判明した.つまりSpiegel葉の門脈枝及び胆道枝は主として,左葉系に属し,尾状突起部の門脈枝,胆道枝は共に右葉系に属していた.下大静脈部の門脈枝は左一次分枝から分岐することが多く,胆道枝は左右の胆管系にほぼ等しい頻度で流入していた.また,その末梢枝は過半数の例で横隔膜下の肝表面に達していた.
以上のように,尾状葉を3部分に分けると尾状葉の範囲が明瞭になり,臨床的見地からも合理的であると考えられる.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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