日本呼吸器外科学会雑誌
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原著
肺瘻に対するフィブリン糊とpolyglycolic acid feltの至適併用法に関する実験的検討
板野 秀樹
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2007 年 21 巻 6 号 p. 762-769

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抄録

肺切除時の肺瘻制御のためのフィブリン糊・ネオベール®(polyglycolic acid(PGA)felt)の至適併用方法を検討するため,フィブリン糊製剤の粘度・浸透圧・比重を測定すると共に,雄豚心肺ブロックの胸膜欠損に対する被覆を以下6通りの方法で行い,気道内圧上昇により耐圧性を比較した:(I)Control群,(II)森川2法群,(III)逆・森川2法群,(IV)擦り込みspray群,(V)Spray Sandwich群,(VI)乾燥felt+spray群.I,II群間のseal-breaking pressure(SBP)に有意差を認めず,III群のSBPはII,V,VI群に比して,またIV群のSBPはII,VI群に比して有意に高値を示した(P<0.05).また組織学的にIII群において組織内へのfibrin gel浸透および最も良好な接着性を認めた.すなわち,「逆・森川2法」によるfibrin糊・PGA feltの併用法が最も合理的かつ有効であることが示唆された.

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© 2007 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
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