食品衛生学雑誌
Online ISSN : 1882-1006
Print ISSN : 0015-6426
ISSN-L : 0015-6426
ノート
既存添加物苦味料ジャマイカカッシア抽出物の成分組成に基づく基原植物の検討
多田 敦子杉本 直樹佐藤 恭子秋山 卓美麻野間 正晴尹 永淑山崎 壮棚元 憲一
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 50 巻 1 号 p. 16-21

詳細
抄録

ジャマイカカッシア抽出物の主成分がquassinおよびneoquassinであることは,1製品の分析結果を報告している.本研究では,まず製品間の成分組成の差異や副成分について検討した.4製品のLC/MS分析を行った結果,主成分に加え副成分の組成もよく一致した.4製品に共通の副成分4種を単離して11-dihydro-12-norneoquassin,canthin-6-one,4-methoxy-1-vinyl-β-carbolineおよび4,9-dimethoxy-1-vinyl-β-carbolineと同定した.次に,アメリカニガキおよびニガキの枝から熱水抽出物を調製し,LC/MSにより本製品と成分組成を比較した.その結果,本製品はアメリカニガキ抽出物に類似していた.既存添加物名簿収載品目リストには,ジャマイカカッシア抽出物の基原としてジャマイカカッシアが当てられているが,これは国際自然保護連合により絶滅危惧種に指定されており,入手困難である.本研究から,わが国に流通する製品の基原はアメリカニガキであることが示唆された.

著者関連情報
© 2009 公益社団法人 日本食品衛生学会
前の記事 次の記事
feedback
Top