2011 年 64 巻 2 号 p. 73-77
潰瘍性大腸炎に対する肛門温存手術では,loop ileostomyを造設し分割手術とする場合が多いが,stoma造設にともなう合併症に留意する必要がある.今回,再手術につながるoutlet obstructionに注目し検討した.Loop ileostomy造設法を筋膜鞘縦切開(A)30例,十字切開(B)30例,さらに挙上腸管のrotationによる捻れを考慮し,ileostomy口側が6時方向(A)30例,3時方向(C)29例に分けて前向きに検討した.Outlet obstructionは,(A)5/30(16.7%),(B)12/30(40%)(p=0.04)と有意に(B)で多く,挙上腸管が捻れにくい(C)で1/29(3.4%)(p=0.09)と少ない傾向にあった.十字切開法や挙上腸管の捻れはoutlet obstructionの原因となるために推奨できない.Loop ileostomy造設時には,筋膜縦切開で,捻れの少ない腸管挙上を行うことが推奨される.