日本臨床外科学会雑誌
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魚骨によるMeckel憩室穿孔の1例
篠原 敏樹広瀬 邦弘佐治 裕高橋 周作
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キーワード: Meckel憩室, 消化管穿孔, 魚骨
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2004 年 65 巻 9 号 p. 2405-2408

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抄録

Meckel憩室は多くの場合無症状で経過する.時に腸閉塞,憩室炎,出血などをおこし外科治療を有するが,異物による穿孔は極めて稀である.今回,われわれは魚骨によるMeckel憩室穿孔の1例を経験したので,文献的考察を加え報告する.症例は68歳,男性.右下腹部を中心とした腹痛を主訴に受診された.虫垂切除の既往歴があり憩室もしくは潰瘍穿孔による汎発性腹膜炎を疑い臨時手術を施行した. Meckel憩室に2.5cmの魚骨が突出しており,魚骨によるMeckel憩室穿孔と診断し,憩室切除を施行した.術前CTをretrospectiveに検討すると魚骨と一致して拡張した小腸壁に向かったhigh densityの線状陰影が認められた.魚骨によるMeckel憩室穿孔は本邦では文献的に11例しか報告がなく稀な症例である.小さな魚骨でも腹膜炎型をとり急性虫垂炎と診断され手術されることが多く,術前に魚骨を同定しえた症例はない.

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