日本臨床外科学会雑誌
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胃軸捻転に伴い十二指腸が嵌頓した食道裂孔ヘルニアを腹腔鏡下に整復根治した1例
吉岡 泰彦谷口 英治栗原 陽次郎太田 喜久子吉川 正人大橋 秀一
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2005 年 66 巻 10 号 p. 2411-2415

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抄録

症例は82歳,女性.突然の心窩部痛,嘔吐のため上部消化管透視を受け,十二指腸球部が食道裂孔へ嵌頓した間膜軸性胃軸捻転を伴う混合型食道裂孔ヘルニアと診断され入院となった.保存的な加療も胃内視鏡による整復も不成功であったため腹腔鏡下手術を行った.術前診断のとおり胃は間膜軸性に屈曲し,幽門部から十二指腸球部が開大した食道裂孔の右縁に沿って嵌頓していた.腹腔鏡鉗子で胃壁を把持し慎重に尾側へ牽引したところ,癒着を認めず容易に整復しえた.以後は通常の腹腔鏡下Nissen手術と同様であった.
間膜軸性胃軸捻転とは胃が大彎と小彎を結ぶ軸で捻転する病態である.間膜軸性胃軸捻転を伴う食道裂孔ヘルニアの成人での報告は稀であり,この病態を腹腔鏡下に整復根治した報告は極めて少ないことから報告する.

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