日本臨床外科学会雑誌
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症例
後腹膜原発solitary fibrous tumorの1例
五味 邦之島田 宏梶川 昌二矢澤 和虎代田 廣志中村 智次
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キーワード: solitary fibrous tumor, 後腹膜
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2009 年 70 巻 9 号 p. 2833-2838

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抄録

Solitary fibrous tumor(以下SFT)は中皮下の間葉系腫瘍で多くは胸膜の良性腫瘍として認められる.今回,われわれは後腹膜に発生した稀なSFTの1例を経験したので報告する.症例は83歳,女性.左下腹部腫瘤を主訴に2005年7月下旬に当院を紹介受診となった.初診時,左下腹部に径10cm大,弾性硬,可動性不良な腫瘤を触知し,腹部単純CTでは筋肉と同程度の濃度を示す境界明瞭な腫瘤を認め,血管造影検査では外腸骨動脈系の左腸骨回旋動脈を栄養血管として腫瘍濃染像があり,筋肉もしくは神経由来の後腹膜腫瘍を疑い摘出術を施行した.病理組織診断ではやや異型のある紡錘形細胞が密に増殖し,免疫組織染色でCD34,Vimentin,Bcl-2が陽性でありSFTと診断された.SFTは組織学的悪性度が低くとも再発・転移が報告されており,本症例も厳重な経過観察が必要と考えられた.

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© 2009 日本臨床外科学会
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