日本臨床外科学会雑誌
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症例
大腿深部膿瘍をきたした閉鎖孔ヘルニア嵌頓穿孔の1例
山村 智美三輪 高也高見 秀樹松井 隆則藤光 康信小島 宏
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2012 年 73 巻 9 号 p. 2426-2430

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抄録

閉鎖孔ヘルニアの嵌頓により小腸が穿孔し,大腿部膿瘍をきたした1例を経験したので報告する.症例は94歳女性.肺炎で入院治療中にイレウス症状が出現し,外科に紹介された.腹部CT検査を実施したところ,右閉鎖孔ヘルニアと右大腿に波及する膿瘍を認め,緊急手術を施行した.術中所見で小腸は,右の閉鎖孔にRichter型に嵌頓し穿孔をきたしており,ここから右大腿深部に連続した膿瘍を形成していた.手術は小腸部分切除術・ヘルニア門修復および右大腿部膿瘍ドレナージ術を行った.術後経過は良好で術後第71病日に退院となった.閉鎖孔ヘルニアが大腿深部膿瘍を形成したまれな症例を経験したので報告する.

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© 2012 日本臨床外科学会
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