日本臨床外科学会雑誌
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術後肝転移に対し動注療法後肝右葉切除を行った食道類基底細胞癌の1例
佐々木 健出江 洋介葉梨 智子吉田 操高橋 俊雄
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2002 年 63 巻 3 号 p. 608-612

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抄録

今回,進行癌根治術後肝単独転移に対し動注化学療法後切除を行い再発後1年生存している症例を経験した.症例は74歳,男性. LtMt領域,1型,長径75mmの食道扁平上皮癌の診断で右開胸根治術を施行した.病理組織は類基底細胞癌, pT 3 ie(-)ly1 v3 pIM0 pN 2 pStage IIIであった.術後6カ月目に単独肝転移を認めたため, CDDP, ADMによる肝動注療法を開始した.肝動注療法4回施行後腫瘍の縮小を認めたため,肝右葉切除を施行した.病理組織も食道類基底細胞癌の肝転移で矛盾しなかった.病変の多くは壊死に陥り,hemosiderosisや黄褐色調の物質を今貪食したmacrophageを線維化部分に多く認めたことより肝動注療法の効果は高かったと考えられた.食道癌術後肝転移を外科的切除した本邦報告例9例に本症例を含めて文献的考察を加えて報告する.

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