日本輸血細胞治療学会誌
Online ISSN : 1883-0625
Print ISSN : 1881-3011
ISSN-L : 1881-3011
原著
標準物質を用いた抗HBs抗体定量用体外診断薬の評価
百瀬 暖佳加藤 孝宣浜口 功
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 66 巻 4 号 p. 629-633

詳細
抄録

B型肝炎はB型肝炎ウイルス(HBV)感染によって引き起こされる感染症である.日本では,HBVキャリアからの出生児にB型肝炎ワクチンを接種することで母子感染の防止が図られてきたが,2016年よりB型肝炎ワクチンは定期接種に位置付けられている.ワクチン接種後に抗HBs抗体価が10mIU/ml以上に上昇した場合,HBVに対する感染防御抗体を獲得したとされる.抗HBs抗体価を測定する体外診断用医薬品は,各メーカーから様々なキットが販売されているが,キット間で測定値に差異が生じていることが問題となっていた.2008年に標準物質の1つである抗HBs抗体国内標準品を用いたキットの性能評価が実施された.その結果,キットによって測定値に3倍以上の差が生じている可能性が示され,キットの改良が行われた.また,新たなキットの市場導入もあったことから,2008年から現在までの抗HBs抗体キットの動向を調査するため,2種類の標準物質を用いて再評価を行った.その結果,測定値のキット間差は最大で2.1倍程度まで軽減しており,キット間差の軽減(標準化)が進んだものと考えられた.

著者関連情報
© 2020 日本輸血・細胞治療学会
前の記事 次の記事
feedback
Top