廃棄物資源循環学会論文誌
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論文
バイオガスプラントの環境経済学的評価
――北海道鹿追町を事例として――
吉田 文和村上 正俊石井 努吉田 晴代
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2014 年 25 巻 p. 57-67

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抄録

国内最大のバイオガスプラント,北海道鹿追町環境保全センター施設を対象として,循環型社会を分析する物質循環,制度・参画者,経済の3つの視点から,その持続的操業成功の要因を分析した。物質循環では,有機系廃棄物の循環利用とエネルギー生産が行われている。制度・参画者では,地域の環境問題解決に町がリーダーシップをとり,関係者を巻き込んで入念な事前調査に基づくプラント設計,運転トラブル防止対策がとられた。経済分析では,プラントの運営収支および投資効果の分析と,公益的機能の定量的分析を通じて,以下の点が明らかとなった。FIT (再生可能エネルギー固定価格買取制度) 適用により売電収入が大幅増となっても,廃棄物処理は依然として収入の柱である。FITが適用されても初期投資の回収が十分に行われない原因は,熱利用が不十分なこと,ならびに環境保全などプラントの公益的機能が十分評価されなかったためである。バイオガスプラントへのFIT適用と補助金による支援には正当性がある。

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© 2014 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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