Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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高等植物は外来糖鎖を認識するいろいろの構造モチーフを発達させて来た
Willy J. PeumansAnnick BarreQiang HaoPierre RougéEls J.M. Van Damme児玉 真一
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2000 年 12 巻 64 号 p. 83-101

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抄録

多くの植物にレクチンとして知られる糖結合タンパクが含まれている。性質の決定とクローニングや構造解析における近年の進歩により、植物レクチンを構造的、進化的に近縁の7つのタンパクファミリーに分類することができるようになった。それぞれのレクチンファミリーでは、全体的な折りたたみ構造や糖結合部位の構造が保持されている。構造が保持されていることで、アマランチン、hevein ドメインをもつキチン結合レクチン、ウリ科筋部レクチン、単子葉植物のマンノース結合レクチンや2型リボソーム不活化タンパクのファミリー内のレクチンにおいてはかなり特異性が類似している。ジャカリンと近縁のレクチンファミリーには2つの構造的に類似した結合部位でも特異性の違いがあり、また、豆科レクチンファミリーでは1つの構造が幅広い特異性をもつ結合部位の形成を可能にしている。植物レクチンの構造/特異性の相関関係の解析により重要な結論が導き出されている。第一に、ほとんどのレクチンファミリーは特異性がよく保存されている点。第二に、いくつかの糖が、複数の構造的に異なった糖結合モチーフにより認識されている点。第三にマンノース、キチンやGal/GalNAcに対する複数の結合モチーフの発達から、これらグリカンを感知する植物システムの重要性に興味がもたれるという点である。精細な特異性の研究によりほとんどの植物レクチンは植物由来の糖を標的とするのではなく、外来のグリカンと優先的に結合することが示されている。

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© FCCA, Forum; Carbohydrates Coming of Age
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