地理学評論 Ser. A
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琵琶湖上の気候特性について
枝川 尚資
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1986 年 59 巻 10 号 p. 589-605

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抄録

これまで推定の域にとどまっでいた琵琶湖上の気候特性を解明する目的で,湖上の島(沖の白石)と湖上に・設置されたボーリング塔を利用して,長期にわたる気象観測を実施した.得られた1年分 (1982年7月~1983年7月)の資料のなかから,気温・湿度・風をとりあげて,それらの日変化・年変化の様相を解析し,また湖岸との比較も行なった.その結果,(1)湖陸の気温差は冬季の夜間と春季の昼間に大きい, (2) 湖陸の湿度差嫉春季に大きい, (3) 湖上は陸上よりも風速が大,とくに夜間の風速差が顕著である, (4) 琵琶湖の湖陸風は北西岸・北東岸・南東岸の三つの系統からなる,しかしタ刻になると湖風とは異なる風系が発達する, (5) 強風の場合.沖の白石では地峡に沿う風(東西成分)が,ボーリング塔では山地に沿う風(南北成分)が卓越する,などの知見を得た.

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