日本栄養・食糧学会誌
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食品成分による肝臓脂肪酸酸化と合成系の制御
平成13年度日本栄養・食糧学会学会賞受賞
井手 隆
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2002 年 55 巻 2 号 p. 105-110

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抄録

食品成分が肝臓脂肪酸酸化と合成系に与える影響をラットで系統的に追究した。大豆リン脂質は肝臓のトリグリセリド合成を著減させる。この低下は脂肪酸合成低下が主要因となり引き起こされることを明らかとした。卵黄やサフラワー種子リン脂質も同様な生理作用をもつことを示し, また脂肪酸合成低下は脂肪酸合成系酵素の遺伝子発現の変化によることも明確にした。α-リノレン酸の血清脂質濃度低下作用の発現機構に関連し, ミトコンドリアとペルオキシゾームの脂肪酸酸化系酵素の基質特異性とα-リノレン酸摂取によるβ酸化系酵素活性と遺伝子発現増加が, 大きな役割を果たすことを明確にした。ゴマに含まれるリグナンであるセサミンの血清脂質低下作用発現機構に関し, セサミンが強力な肝臓β酸化酵素の活性上昇と遺伝子発現誘導作用をもつことを示した。また, セサミンは脂肪酸合成系酵素遺伝子発現を低下させ, この低下に転写因子ステロール調節エレメント結合タンパク質-1 (SREBP-1) 遺伝子発現低下とその活性化抑制が関与することを示した。

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