1995 年 15 巻 1 号 p. 1-8
健常成人の12誘導心電図におけるQT間隔のばらつき (dispersion) の程度を明らかにするため, 20~79歳の健常成人74名のQT間隔dispersionを検討した.また現在汎用されている心電図自動計測装置の有用性を検討した.
健常成人におけるQTdispersionは, 28±10msec, QTc dispersionは, 31±11msecであった.QTc dispersionを各年代ことに検討すると, QTc最大値が年齢とともに増大するに伴い, QTc dispersionは大きい値を示し, 加齢に伴った心筋の変性等の影響が示唆された.また自動計測との比較では, QTc最大, 最小値は, 実測値が有意に大きい値を, QTc dispersionは有意に小さい値を示した.
健常成人の標準12誘導心電図におけるQTc dispersionは, ほとんどの例で40msec以下であった.また, 加齢に伴って次第に大きい値を示すことが判明した.しかし, QT間隔の自動計測に関しては, 今後, さらに検討が必要であると考えられた.