【目的】日常の食生活では,複数の食品の組み合わせで食事が構成されている。しかし,多様な食品の摂取とフレイルとの関連は十分に検討されていない。そこで,本研究は地域在住高齢者を対象に食品摂取の多様性とフレイルとの関連を検討することを目的とした。
【方法】対象は群馬県邑楽郡で実施された官学連携の健康教室で,ベースライン調査に参加した218名(65~95歳)とした。研究デザインは横断研究とし,自記式質問票を用いた調査を実施した。参加者には基本属性,食品摂取の多様性,フレイルに関する質問を含んだ自記式質問票への回答を依頼した。食品摂取の多様性は,10項目の食品や食品群について1週間当たりの摂取頻度から評価した(以下,多様性得点(0~10点))。フレイルの判定には介護予防チェックリストを用いた。全15項目の各質問につきネガティブな回答に1点を付与し,4点以上の者をフレイルと判定した。解析にはフレイルの有無を従属変数,多様性得点を独立変数とした多変量ロジスティック回帰分析を用いた。
【結果】解析対象者の平均年齢,BMIおよび多様性得点はそれぞれ75.5歳, 22.9 kg/m2,3.6点であった。フレイルの者の割合は15.6%であった。多変量ロジスティック回帰分析において,多様性得点とフレイルとの間に有意な関連が得られ,多様性得点が低値群に対する中間群,高値群のオッズ比はそれぞれ0.70(0.21~2.27),0.10(0.02~0.54)であった。
【結論】多様性得点が高い者ほどフレイルのリスクが低かった。