2010 年 68 巻 1 号 p. 25-30
2つの地域における児童の農作業体験に関する認知的要因について調べた。埼玉県と福島県の公立小学校の5年生の児童368人を対象に,自記式の質問紙にもとづく横断調査を実施した。農作業体験に関する認知的要因として,食に対する感謝の気持ち,地場産物に対する態度,農業の知識,農業への態度を用いた。これらの要因の合計得点を算出し,地域で比較した。また,これらの要因について,主観的農作業体験,野菜摂取との関連を検討した。362人から回答を得た(回収率98.6%)。地場産物に対する態度において,福島県と埼玉県で違いがみられた。また,主観的農作業体験と認知的要因の関連でも違いがみられた。農業への態度は埼玉県のほうが福島県より高かったが,地場産物に対する態度,農業の知識は,福島県のほうが高かった。地域により,農作業体験に関する認知的要因に差がみられた。本研究の結果をもとに,今後は地域差に関連すると考えられる他の要因についても調査をする必要がある。
(オンラインのみ掲載)