2019 年 77 巻 6 号 p. 154-166
【目的】男性持久系競技者を対象とした食事記録法の栄養評価における食品重量見積もり誤差の特徴を明らかにすることである。
【方法】筆者らの研究室に蓄積された食事記録法のデータベースから,競技者及び非競技者を対象とした食事記録を抽出した。これらに基づいて作成したモデル献立の写真と食事記録票を栄養評価者に配布し,食品の選択及びその食品番号と見積もり重量の記入を依頼した。その後,筆者らが栄養素等摂取量を算出し栄養評価値を得た。モデル献立の基準重量と評価者に依頼した見積もり重量との誤差及び基準値と栄養評価値との誤差を比較した。
【結果】競技者モデル献立の基準値と栄養評価値との間に,10%以上の過小評価が認められたものはエネルギー及び炭水化物(それぞれ平均値で-13%,-16%),過大評価が認められたものはビタミンA及びビタミンC(それぞれ40%,10%)であった。エネルギー及び炭水化物への寄与率が高かったご飯の見積もり重量に有意差が認められ,基準重量に対し23%の過小評価が認められた。また,ビタミンAへの寄与率が高かったにんじん,ほうれん草は基準重量に対しそれぞれ48%,68%の過大評価が認められた。ビタミンCへの寄与率が高かったほうれん草は基準重量に対し68%の過大評価が認められた。
【結論】男性持久系競技者を対象とした食事記録法の栄養評価においては,ご飯と緑黄色野菜の重量見積もり誤差が大きいという特徴があることが示唆された。