臨床神経学
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<公募Symposium 01> 日本人に好発する遺伝性白質脳症の診断と今後の展望
神経軸索スフェロイド形成をともなう遺伝性びまん性白質脳症(HDLS)の臨床像と画像所見
池内 健
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2014 年 54 巻 12 号 p. 1158-1161

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抄録

Hereditary diffuse leukoencephalopathy with spheroids(HDLS)は大脳白質を一次性に障害する若年性認知症である.2012年,colony stimulating factor-1 receptorCSF-1R)がHDLSの原因遺伝子として報告されて以来,本症は遺伝子解析による確定診断が可能である.CSF-1R変異をともなうHDLS報告例は54家系73症例におよぶ.平均発症年齢は45歳,死亡までの罹病期間は平均6年であり,一旦発症すると病気の進行は早い.初発症状は認知機能障害がもっとも多い.パーキンソニズム,錐体路徴候,前頭葉徴候が頻度の高い臨床症状である.脳MRIでは大脳白質の異常信号と脳梁の菲薄化をみとめ,病初期から側脳室が開大するcentral atrophyを呈する.脳CTでは微小石灰化病変が特徴である.HDLSはまれな頻度ではなく,白質型・若年性認知症の鑑別診断において念頭におくべき疾患である.

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© 2014 日本神経学会
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