2020 年 60 巻 2 号 p. 137-141
41歳女性.20歳から小刻み歩行,21歳から意識消失を繰り返した.34歳時頭部MRIで大脳深部白質病変を認めたが確定診断に至らず.41歳時に転倒・頭部打撲を契機に歩行障害が増悪.注視眼振,発語障害,腱反射亢進,病的反射陽性,自力歩行不能だった.頭部MRIにて延髄と上位頸髄の高度萎縮,GFAP遺伝子にp.R79H変異を認めAlexander病(Alexander disease; AxD)と診断.意識消失の成因として起立性低血圧と血管迷走神経性失神,心因性非てんかん発作が考えられた.転倒・頭部外傷を契機に歩行障害が急激に増悪した経過はAxDの病態および管理を考える上で重要である.