2020 年 60 巻 10 号 p. 712-715
50歳女性.受診2年前から歩行障害,話しにくさが出現し精査目的で入院した.左下肢のジストニアと運動緩慢,起立性低血圧や構音障害を認め,ドパミントランスポーター(dopamine transporter; DaT)シンチグラフィーで両側線条体の集積低下を認めた.頭頸部画像で延髄・上位頸髄の萎縮性変化がありアレキサンダー病(Alexander disease; AxD)が疑われた.Glial fibrillary acidic protein(GFAP)遺伝子検査で本邦において既報告のないp.M73I(c.219G>T)変異を認め,延髄・脊髄優位型AxDと診断した.ジストニア所見を呈するAxDは稀であるが延髄や脊髄に特徴的な画像所見を認めた場合は,鑑別にAxDも念頭に置く必要がある.