日本臨床細胞学会雑誌
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特集 <ベセスダシステム時代の子宮頸部組織診>
コイロサイトーシスについて
九島 巳樹津田 祥子森下 朱美福田 ミヨ子秋田 英貴市原 三義森岡 幹
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2012 年 51 巻 1 号 p. 49-52

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抄録

子宮頸部細胞診におけるコイロサイトーシスの意義や組織診との整合性について調べるとともに, 今後の細胞診における取扱い方などを再検討した.
昭和大学病院において, 子宮頸部細胞診で軽度扁平上皮内病変 (low grade squamous intraepithelial lesion 以下 LSIL) と診断された標本を再鏡検し, コイロサイトの出現頻度, 鑑別診断などについて調べた. 次に組織診についても子宮頸部生検において軽度異形成であった症例について, 同様にコイロサイトーシスの頻度, 鑑別診断について検討した.
その結果, 軽度扁平上皮内病変の細胞診では 55 例中, 23 例 (42%) でコイロサイトーシスがみられた. 軽度異形成とされた子宮頸部生検標本上では 29 例中, 19 例 (65.5%) にコイロサイトーシスがみられた. さらに鑑別診断が必要な疾患について実例を示した.
コイロサイトーシスは軽度扁平上皮内病変を診断するために, 細胞診と組織診の両方で重要な細胞所見であり, 今後もベセスダ・システムにそった細胞診や取扱い規約に準じた組織診断を確実に行うにあたって有用な所見と考えられる.

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© 2012 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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